水槽の照明用にRaspberry PIでLEDの点灯をコントロールしていましたが、照明とついでにLEDの光でサボテンも育てていました。
最近、浮草(ホテイ草/ホテイアオイ/ビオトープ)を買って水槽に浮かべて、これもLEDで育つだろうと思っていたら、葉っぱの先が茶色くなっていってしまいました。
ということで、急遽パワーLEDを強化することにしました。
パワーLEDを強化する
いままで使っていた白色パワーLED(水槽は古い小さめの水槽)
LEDの光を当てていたサボテンを取り除いて、白色パワーLEDを水槽にもっと近づけて浮草に毎日1時間連続光を照射していたところ、2,3日して葉っぱの先っぽが茶色くなってきてしまいました。
応急処置で青色パワーLED1個を並列に加えて電流をもっと流せるように抵抗の値を小さくして2時間連続光を当ててみましたが、それでも茶色くなるのが止まりません。
小手先の変更では浮草の状態の悪化が止まりそうもないので、抜本的な変更を行いました。
赤色パワーLED5個、青色パワーLED2個、8時間パルス照射。
そんなこんなで出来上がったのがこれ。
ヒノキの棒を切ってH型にして浮草の葉っぱにパワーLEDの光が直撃するように配置しました。
点灯したときの様子(これは連続光です)
金魚の金太郎の点灯ボタンを押したときは連続光になっています。タイマーで一定時間(1日8時間)点灯させるときはパルス照射になっています。
点灯時の全体の様子
60サイズのでかい水槽です。赤色パワーLED5個、青色パワーLED2個を使っているので赤紫になります。
白色パワーLEDを取り外した理由は、植物は赤と青の光で光合成を行っているからです。白色の中に青色が含まれていますが、赤色は含まれていません。そして白色の中にコケが発生する色が多数含まれています。
ということで、赤色を中心に青色を加えた構成にしてみました。
水草に最適なパワーLEDの回路図とプログラム
Eagleとかで回路図を書くのがめんどくさいので、適当に手書きで書いた回路図
丁寧な説明はパワーLEDとMOS FETに書いてあるので、そこを見た方がいいです。
ここでは変更点だけ説明しておきます。
まず最初、パワーLEDはebayで買った方がいいです。日本で買うと1個200円くらいなのがebayだと10個で300円くらいで売っています。そもそも植物用の660nmの赤色パワーLEDは日本では入手困難なのでebayで買った方が楽です。
次、赤色パワーLEDのフォワード電圧は白色や青色パワーLEDよりも低いです。赤色パワーLEDに3.6Vかけたら死んでしまいました。気付くのに2個無駄にしてしまいました。3オームの抵抗(2W用)を入れて赤色パワーLEDにかかる電圧を下げましょう。
MOS FETのゲートにかける電圧を上げるために、NAND回路を経由させました。
LEDに流れる電流をあげようと四苦八苦していたところ、Raspberry PiのGPIOの出力電圧ではゲートにかける電圧が足りないことがわかりました。
GPIOは3.3Vの出力電圧になるはずですが、なぜか2.9Vしか出ません。それが原因でMOS FETにかけるゲート電圧が不足して、いくら抵抗の値をいじっても電流が1.6Aぐらいまでしか流れませんでした。2.9Vの電圧をNANDを2回経由させて5.0Vにさせました。これで2.0Aまで流すことができました。
ちなみにUSB電源は下記のAnkerを使っています。
この仕様を見ると2.4Aまで流せるはずなのですが、2Aまで流すとUSB電源の電圧自体が5Vから4Vに低下して、ドレインソース間電圧を差し引くと3.1VくらいしかLEDにかけられず、特に青色パワーLEDにかける電圧が不足気味になり流せる電流を増やせなくなりました。
何言っているのかよくわからない場合は、ようはUSB電源ではパワーLEDだと2A以上は使えないと見た方がいいです。赤色だけならフォワード電圧が小さいので2Aを超えて使えそう。
ただし、AnkerのUSB急速充電器は1ポートで2.4Aを超えて電流を使うとポートが死んで二度とそのポートが使えなくなります。USBコネクタ側についていた100mAのリセッタブルヒューズはショートさせてノーガードになっている状態なので、2Aのリセッタブルヒューズを入れた方がいい気がしてきました。(そのうち機会を見てヒューズを買おうと思います)
あとは流れる電流を増やしたのとUSB電圧が低下したため0.5オーム(5W)のセメント抵抗に変更してあります。
続いてパルス照射のプログラムです。
#!/usr/bin/python import RPi.GPIO as GPIO import time GPIO.setwarnings(False) GPIO.setmode(GPIO.BCM) GPIO.setup(23, GPIO.OUT) GPIO.output(23,GPIO.HIGH) count = 0 while True: time.sleep(0.0002) GPIO.output(23,GPIO.LOW) time.sleep(0.0002) GPIO.output(23,GPIO.HIGH) count += 1 if (count > 1000*2.5*60*60*6): break GPIO.output(23,GPIO.LOW) GPIO.cleanup()
0.0002秒、つまり200usパワーLEDをONにして、200usオフにしています。なんでも植物は光をずっとあてている必要はなく、200us程度のON/OFFを繰り返した方が光合成がしやすいらしいです。それに加えてパルス照射のほうがパワーLEDが熱くなりにくく寿命も倍になり、電気代も半分になります。パルス照射にすると若干見た目で光の強さが弱まります。植物的に同じ光の量を受けているのかどうかはわかりませんが、メリットが大きすぎるのでパルス照射を続けようと思います。
countが1000*2.5*60*60*6を超えたら照射を終了させています。計算上は6時間になりますが、実際試してみると1.4倍程度時間が余分に長くなっていたので、1日8時間程度照射させたいので上記のような数値(1000*2.5*60*60*6)になっています。
ちなみにこのプログラムはRaspberry Piで動かしていますが、パルス照射だけをしたい場合はRaspberry Piなんか用いないほうがいいです。
パルス照射だけなら555タイマーを使ったほうが良くて、1日8時間とか決まった時間に決まった長さ照射させたい場合はPICマイコンなんかを使ったほうが安くできるしまともです。今回はRaspberry Piが近くにいたので使っただけです。
Raspberry Piが近くにいない場合は、普通に555タイマーやPICマイコンを使いましょう。
おまけ:サボテンに白色パワーLEDを毎日1時間10ヶ月浴びせ続けた結果
水槽のフタの重し用に10ヶ月前くらいにサボテンを買ってきて、その上に白色パワーLEDを設置して毎日1時間連続光を浴びせた結果、こんな感じになりました。
3日くらい西日の当たる窓に置いた結果、左のほう(太陽のほう)に曲がってしまいました。なんとも貪欲なサボテンです。
細長く伸びているところが、白色パワーLEDで育った場所です。LEDのほうへニョキニョキ伸びていきました。今は浮草にパワーLEDを全面照射しているためサボテンは窓枠に置いています。
とりあえずサボテンはパワーLEDでも育ちます。ただし奇妙な形で。赤色パワーLEDなら普通に育つ気がします。青(白)は伸びて、赤は大きくなるとか、どこかに書いてあった気がします。
パワーLEDの出力を更にパワーアップ
あれからいろいろ確認したところ、結局USB急速充電器では1.6Aくらいしか出せませんでした。
そこで登場させたのが、ACアダプター(6V2.8A)
今まで電子回路にはUSB電源を使っていましたが、USB電源より強力にすることができるACアダプターを使うことにしました。
使い方はいたって簡単で、DCジャックに細ピンを半田付けしてつなげるだけです。
秋月:スイッチングACアダプター6V2.8A 900円
秋月:ブレッドボード用DCジャックDIP化キット 100円
DCジャックはジャンク基板から引っぺがしてきました。
これで2.3Aくらいまで電流を引っ張ってこれるようになりました。
ここまでくると限界値まで電流を引っ張りたくなります。
次に目をつけたのがMOS FET。
今まで使ってきたMOS FETはNchパワーMOSFET 2SK4017なのですが、データシートを見ると若干ドレイン電流かソースドレイン間電圧が引っかかっているっぽい。手持ちの中でもっと大電流を流せるMOS FETを探したところNchパワーMOSFET(30V62A)IRLB8721PBFがデータシート的に良さそうな形をしていました。
ということで、2SK4017をIRLB8721PBFに入れ替えて再度テストしたところ、ついに最大値の2.8Aまで流すことができました。青色パワーLEDへのフォワード電圧も3.2Vくらいだったのが、3.6Vまであげることができました。
赤色パワーLED 5個 2.2V 380mA
青色パワーLED 2個 3.6V 450mAくらい
連続光だとACアダプターもLEDが熱でやばいことになりますが、パルス照射にしているのでやばいくらいの熱にはなりません。
これでACアダプター(6V2.8A)で7個のパワーLEDを十分なパワーで光らせることができました。
もしもっとパワーLEDを使いたい場合は、65W級スイッチングACアダプター12V5Aあたりを使うのが良いと思います。
大電流が流れるので10A用2.1mmDCジャックDIP化キットを使います。単純に4倍、つまり28個くらいパワーLEDを光らせることができます。ただし、いくらパルス照射だからといっても5A使うのはブレッドボード的に少しマズイ気がします。
5Aクラスの大電流を使う場合は電流が1つのところに集中しないようにして、ヒューズを入れて万が一に備えたりして、安全性を高める必要がありそうです。
追記:Raspberry Piにはパルス波の制御は向かない
実際に試してみたのですが、Raspberry Piにはパルス波の制御は向いていませんでした。その結果、数時間後にはプログラムが途中で止まり、LEDがずっとONになっていたり、もしくはOFFになったりしてしまいます。
count = 0 while True: time.sleep(0.0002) GPIO.output(23,GPIO.LOW) time.sleep(0.0002) GPIO.output(23,GPIO.HIGH) count += 1 if (count > 1000*2.5*60*60*6): break
VirtualHostの設定をしてサイトを2つ動かしていることから、メモリー不足も影響を与えていると思いますが、pythonで200usのsleepを数時間単位でループさせるのは、用途外だと思われます。
PICマイコンでパルス波とパルス波の照射時間を制御するプログラムを作って、何時にパルス波の照射を開始するかという時間だけRaspberry Piで制御してあげるのが一番良さそうです。
もしくは照射開始時間さえもPICマイコンで制御してしまうのが、まともなやり方だと思われます。
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